UTMB2013~その⑦

 Grand Col Ferret~La Fouly

ともかく下り始めるが、脚の痛さが、かなりのもの。
上半身の不調も相まって、ロクロク走れない。
走れたらさぞかし気持ちいいのだろうが‥。

もうバンバン抜かされるが、それどころじゃないほど、
気分悪い‥
見通しの良い区間を抜けて、アップダウンの続くシングルトラックへ。
気温も上がり、日差しも強い。当然気分の悪さもMAXへ
そして、おめでとう‥リバースです

こうなるともういけない
下りは脚が痛いし、登りは心拍が上がるのでリバース。
水分取るとまたまたリバース、当然補給食は受け付けない。
(シリアルバーを携帯しているが、口中にシリアルバーの匂いが充満し、
これがまた吐き気を催す)

ありがたいのは、フラフラ歩いているボクのを追い抜かしてくるランナーさんの
多くが、「大丈夫?」と声をかけてくれること。
まあ、大丈夫じゃないとは言えないから「OK~」とは言うものの
全然OKじゃない‥

La Foulyまで残り1Kくらいのところで、大会スタッフらしき方が2人、声をかけてきた。
どうやら先行したランナーの一人がボクのことを伝えたらしい。
「大丈夫か?」とか「エイドまで歩けるか?」とか色々気遣ってくれる。
まあ、ここで白々しく倒れるのも恰好悪いので、「大丈夫、歩きます」みたいなことを言って、
なんとかLa Foulyまでたどり着く。

案の定La Foulyに仮眠所はなし。
仮眠所で寝て、ある程度疲労を取り、最低でも完走を~っ、とのもくろみも、
この時点で無くなってしまった。
今考えれば、La Foulyの選手用ベンチに寝転がっても、テントの隅で無理やり寝ても
良かったのかもしれないが、その時はそういう考えには及ばなかった。
Champe-Lacの仮眠所まで約14K。基本下り基調だが、登りもある。
歩くのもやっとの状態で14K‥。無理かも‥と逡巡しながらエイドに入る。

するとエイドはチーズの匂いでいっぱい
めちゃくちゃ吐き気を催す。とりあえず口で息をしながら、医務室の場所を聞く。
医務室に行き、薬を飲んだり、血圧測ったり、酸素吸入器つけられたり。
とにかく、語学力が乏しい状態で今レースに臨んでいるので、簡単なことは
応えられても、自分の症状を詳しく述べることはできない。
気持ち悪いのと脚が痛いの以外は取り立てて悪いところもないので、
まあ一応大丈夫、くらいのことを伝える。
お医者さんは「バスの時間まで、まだ間があるから、とりあえず、寝て休め。
ところで、レース続ける?」と聞かれたので、「もうダメっす。止めます」と
伝える。

ここでボクのUTMBは終了~
親切にも、看護婦さん?がレース終了の手続きをとってくれて、
ボクは医務室の地下の仮眠所で数時間ほど休ませていただいた。

La Foulyに到着したのは14:00過ぎくらいだったか?
18:00頃起こされて「バス来たよ~」と伝えられる。
お礼を言って、バスに乗り込む。傷心のシャモニー行きです。

そしてここから、第二の戦いが始まる。
La Foulyは山あいの町で、シャモニーからすご~く遠い。
Courmayeurだったら、トンネルを抜けて45分ほどでシャモニーに着く。
ところが、La Foulyは一旦、先のChampe-Lacまで進み、そこから
何ヵ所かのエイドをめぐって、シャモニーに向かうのであった。

今の自分の状態
 気持ち悪くてリタイアし、当然今も気持ち悪い。
 これから数時間もバスに乗る。
 バスは山あいを縫うように進む。多分シャモニーまでずっと‥。
 個人的な事情であるが、ボクはきわめて乗り物に弱い。

ということは‥
バスが走り始めて5分で気持ちが悪くなってきた。
一応頑張ってみるが、やっぱりリバース‥
受付でもらった大会用の黒いごみ袋がここで役に立つ。
もうChampe-Lacまでずっとゲーゲー‥。
多分、ほかの乗客からは白い目で見られています
でも、それがどうしたもう、このビニール袋と心中じゃ~っ。
隣に座っていた、やはりリタイアした外人ランナーさんが、とても気遣ってくれます
なんでしょう、いい人だ~。自分が彼なら、十中八九もらいゲ○です。

Champe-Lacにたどり着いた時は、もう虫の息。
こんな苦しいのならChampe-Lacまで歩いた方が良かったのでは?
ここでシャモニー行きのバスを待っているときに、TDSに出られたという日本人に会う。
彼がまたなにくれ弱ったボクを気遣ってくれて、どうにかバスを待つことが出来た
(1時間くらい待ったか?)
僕らの前を、まだレースを続けているランナーが横切っていく。
みんな恰好いい~っす

どうにかシャモニー行きのバスに乗り込む。
幸か不幸か、これまでの疲れが一気に押し寄せ、シャモニーまで爆睡
なんとか乗り物酔いとの戦いは回避できた
そしてリタイアから約10時間後、深夜になってやっとシャモニーにたどり着きました。