低体温症リスクマネジメント講座

ATCstoreで行われたARC'TERYXの低体温症リスクマネジメント講座を聞いた。

低体温症そのものに関する医学的なうんぬん、というのではなく、
(なぜなら低体温症を発症した時点で医学的素人の我々ではほぼ対処できない。
そうならないような知識が必要だから)

ウェアの知識と適切な着回しに関することを教えてもらった。
ものぐさなボクのこと。特にメモもとらず聞きかじった事を備忘録的に並べれば‥。
(ボクの個人的に理解したうえでの表現も多少混ざってますが)

ゴアテックス

防水透湿性の素材は様々なメーカーから出ており、性能も大差はない。
ただゴアテックスは他素材に比べて耐久性に優れており、品質テストも
非常に厳しいとのこと。ARC'TERYXがゴアテックスを採用する理由も
その耐久性と信頼性にあるとのこと。

※ランナーの需要としては”いかに軽く”が重要であるから、軽さ優先、
耐久性は二の次、というのであれば他素材でもよい。ただし、頻繁に
買い替えるという覚悟も必要。

防水加工しているということは基本、水から身を守ることを前提としているわけで、
要するに雨の中できることがメインとなるわけだから、ゴアテックスもそうした状況を
前提として作られているので‥。

ゴアテックスPRO : 行動時間中の95%は着用要していることが前提。それと
心拍数110くらいの運動までに対応。軽いジョギングくらい?山道をゆっくり
登ったらそれくらいになるのかな?
だから、それ以上の負荷でPROを着用して行動しようとすると、透湿能力が
間に合わず、ジャケット内は汗濡れすることになる。

ゴアテックスACTIVE : 行動時間中の90%(だったかな?)は着用していることが
前提。心拍数150くらいの運動までに対応。ボクの場合だと、フルマラソンに近い
くらいのランニングになる。
メンブレン”という素材が防水透湿性の要となるものらしいのだが、ACTIVEはPROの
半分の厚さでメンブレンに張りつける素材も網目を広げる等をして透湿性を高め
なおかつ軽量化を図っている。

その他 : PACKLITEなど。ここいらはPROほどの厳格な品質テストなどを
行っていないもの。だからといって、バンバン水を通すということも無いのだが。
PACKLITEなどはメンブレンに張りつける裏地が繊維による生地でなく、何か
(その何かは忘れてしまった)を塗付しており、より一層の軽量化が図られている。
トレランなどを、自力で発熱をし、脱ぎ着をそれなりにする場合などは、こういうタイプ
のものでもよい。

WINDSTOPPER ‥ メンブレンを使用しているがシーム加工していないので、
縫製部分から浸水する。ただスタート前からジャンジャン雨が降っている場合は、
最初から走る、という選択もないし(ボク個人に関しては)、走るのであれば、
シーム加工されているウェアを選ぶ。
それほど気温が低くない時期であるとか、低くても雨が降る心配がない状況での
文字通り防風のためのウェアとしては優れているらしい。

あとPRO=数日間行動、PRO以外=日帰りというのも基準の一つ。

 ベースレイヤー

ARC'TERYXには生地の厚み、要するに寒さの度合いによって
使い分ける3タイプのベースレイヤーがある。

特徴としては
繊維‥横糸にポリプロピレンという水分を吸収しない素材が使われており、
発汗すると汗が、下に下に‥ではなく、横に拡散していく。
それによって、汗が広範囲に希釈し、乾きが早くなるとのこと。

匂い‥防臭性が優れており、3、4日の山行でもにおわない。
(他メーカーのそれはウプッとなるらしい)
洗っても1年もたてば‥。
その点は納得かもしれない。他メーカーのウェアを洗濯する(してもらう)際、
家族のモノに、いたく評判の悪いにおいを発するモノもあるらしい。
(単にボクの体臭が人並み以上であるという可能性は、ないっ、かと思う)

 ミッドレイヤー

フリースとか化繊、ダウンなど。
フリースも行動パターンにより3~4タイプのウェアがある。
化繊は独自の巻き方?により、化繊の量を少なくして軽量化を図りつつ
空間を広げて、暖かな空気の層は確保できるようになっているそうな。

この空気の層というのが重要で、素材そのものが暖かいのではなく、
素材が作り出す空気の層が暖かいのだということ。

 その他

どういう行動時にどういったレイヤリングが必要かということは当然
個人差があるので、常に意識をしておくことが大事。
そのために、アウトドアショップで購入できる小さな温度計の携帯を勧められた。
これは温度計と、その裏に風速と体感温度の関係が表示されたもので、
それにより客観的に環境と自分の関係を測ることが出来る。

ボクの場合は、屋外での活動といえば、もっぱらランニングかトレイルランニングであり、
その対象も比較的温暖な静岡の山々に限られる。
ひとりで他県の山に毎週走りに行く、とか、雪が降りしきる山の中を喜々として走りまわる
アクティブ性は、ボクにはない。楽しそうではあるのだけれど‥ね。
本格的な山歩きも、今のところは予定はない。
であるからして、ゴアテックスPROは必要なし。

ベースレイヤーは一つだけ持っていて、早朝ランに使用しているが、中々使い勝手がよい。
暖かいし、汗抜けもいいようだし。
匂いがしないというフレーズも魅力的。
今後はARC'TERYXがメインになるかな。

フリース、化繊はまあ用途さえ把握できていれば、他メーカーでもいいかなと思う。

ボクの場合ARC'TERYXの購入に当たる障害は、コストとサイズ。
サイズに関してはSサイズはボクにはちとでかい(ボク169cm+ちょびっと)
ただ、来シーズンからはXSサイズも展開されるそうなので(種類によるらしいが)
楽しみ楽しみ。

これまで漠然とした情報と印象でウェアを購入していたことを考えれば、
少しでも自覚的に購入を考えるきっかけになっただけでも非常に有意義な講義であった。

まあ、物欲が刺激されたことも間違いないのだけれど。