UTMB~その⑩

 La Flegere~Chamonix ゴール

うんざりするほど長かったCol des Montetsもようやく終わり。
残りはひたすら下るのみ

脚は痛いが、最後くらい痛みを乗り越えて走るくらいの気概は見せたい
そろそろと歩行速度と同程度の勢いで走る
山の中ではあるが、少しずつゴールに近づくボク達を応援する人々が増えてくる。
名前は忘れてしまったが花が飾られた素敵なカフェが山の中腹にあり、そこの
テラスを横切ると、あとは林道。

日差しは強く、相変わらず脚は痛い。走るのが難儀になってきたし、もはや大きな意味は
失われている、と思う。よってここからは歩き。
ボク自身は見えていないが、他人がボクを見れば、疲れや汚れやらでボロボロに
見えていると思う。シャモニーの街に出る前にストックをしまったり、(一応)身だしなみを
整えたりしながら歩く。

林道の終わり、シャモニーの街の入り口で友人が出迎えてくれる。
とても喜んでくれているようだ。知った顔がボクを見て喜んでくれることは
ボクもうれしいし、ホッとする

そこからゴールまでは1Kほど。あとはウィニングラン
何に勝ったかは定かではないが‥
時間は15時くらい?しばらくしたら閉会式が始まるくらいの時間帯なので
沿道の人がとても多い
皆、ゴールに向かうボク達を歓迎してくれている。
出迎えてくれる人たちにとって100マイルを進んでくることが出来た人たちは
等しく驚嘆に値する存在なのかもしれない。
彼らは100マイルを踏破することがいかに大変なことか、生々しく想像できるのだろう。
だからこそこの盛り上がりがある。

どのレースでもゴールはいくらかは華やかで、完走した自分もそれなりの感動を
受ける。
しかし、欧米の、とりわけUTMBはその規模や山々に囲まれた環境や、
山々に接する習慣などから得た経験から、レースの困難さを人々が理解している。
そうした人々に迎え入れられるボク達は、ゴールに向かうこの瞬間、
とても幸せな気持ちを感じることが出来る。
(他の欧米レースは知らないけど、規模の違いだけで、雰囲気は似たような感じに
なるのかな?)

ゴールに近づくにつれ、沿道の人たちからハイタッチを求められる。
幾人かの日本人にも声をかけられる。多くはすでにレースを終えた友人たち。
それ以外にはレース中、気分が悪くなったボクを心配してくれて医務室に
伝えてくれた人もいた。
これまでに出会った多くの人々がゴール地点で次々と出会うことが出来た、
というところも”旅”の大団円にふさわしい

そしてゴール
45時間もかかってしまったけど、完走はした。
結果的に遅く帰ってくることになったが、この時間帯に帰ってきたがゆえに
最高の歓待を受けることが出来たようだ。
トレイル”ラン”とはとても言い難かったが、あきらめずにゴールはした。
今日のところはそれでいいと思う。走るのはまた明日から。

 感動を満喫しすぎて写真なし