八ケ岳縦走 ~「マジか!?」と何度言ったことか~

八ヶ岳縦走」マッチョな山登りをする人にはそれなりに価値のある所業(らしい。多分)。ボクの場合、初めて八ヶ岳に行ったのが昨年で、今回の八ヶ岳縦走の前週にゆるゆるテント泊をしただけで、八ヶ岳素人だ。
八ヶ岳の山の名前は全部知らないし‥というか、八つの山があるから「八ヶ岳」と思っていたら、たくさんあるから八ヶ岳というのだそう。(諸説あり。南八ヶ岳が一般的な八ヶ岳ともいうらしい)

そんな八ヶ岳ビギナーが、いきなりコンプリートを目指す暴挙。
自分発信だったら‥いや、そもそも発信しない。今回は、静岡(ほぼ)最強女子ランナーさんの希望で始まった企画です。犠牲‥志願したメンバーはヒデさん(ナビゲーター)、〇井くん、ボクの4名。
紅一点の4人組ですが、その女子が一番強いのだから、スタート前から緊張します。

小淵沢駅を1:00にスタート。編笠山の登り口、観音平に向かう。今回この区間が曲者で、ロードも含めた緩やかな登りが2時間ほど続いた。気温も比較的高く、山に登り始める前から体力消耗‥。

そこから編笠山権現岳➜赤岳へ登っていく。ペースはそれなりに速い。コースタイムの半分くらいかな。
編笠山のピーク辺りから徐々に明るくなってきた。天候は晴れ。権現岳から赤岳の登りは岩だらけで登りにくく、キツイです。

長いハシゴ。25mくらいあるそう。

ホントに登山道か?と思うくらいの岩々した登山道

フーフーしながら赤岳登頂。視界良好♪富士山、各アルプスの山々が一望できる。
その後も、横岳➔硫黄岳➔根石岳➔東天狗岳へと順調に進む。

横岳って赤岳の横にあるから横岳じゃなくって、横に長く小さなピークが連なっているから横岳なんですね。実感しました。


根石岳手前。前回はガスって稜線が全然見えなかったから、この日は感動

まだ、午前中。少々疲れてはきたが、これならいけそう、という実感がわいてきた。
はるか遠くに最後の山となる蓼科山が見える。かなり遠そうだけれど、この時は行程の半分以上を進んできたという安心感と、全体的な下り基調という感覚でいたので比較的楽観視していた。
そしてボク自身、ここから先は行ったことがなく、「北八ヶ岳はビギナー向き」というどこからか聞きかじった情報から、やっぱり安心していた。だけどこれが大間違い。

苔むした地面と木々から零れ落ちるやさしい光。そんな中「こんなはずでは‥」と上り坂を呪う自分

ビギナー向き➔ゆるいアップダウンと歩きやすいふかふかトレイルなどと考えていたら、足元は石ころだらけ、急激なアップダウンはないが歩きにくく、疲れているためテンションはがた落ち。弾んだ会話をする気も無くなる。まぁ、もともと気のきいた会話などできないのだけれど‥。
浮き石を踏んでケガをしないように下ばかり見ているから、実際会話をしている余裕がない。

高見石➔茶臼山縞枯山➔北横岳➔蓼科山

そもそもの設定として蓼科山を下りた後のバスには間に合わない、ということだったが、「いや、それでも頑張れば間に合うでしょう」などと気楽に考えていた。
しかし、他のメンバーはともかく、自分の疲労度合とこの先の展開を考えると、バスに間に合うどころか、日のあるうちに山を降りられるかも怪しくなってきた。
さらにまずいことに、持って行った補給食が少なく、この先が心配になる。
なので、高見石の山小屋で揚げパンを食べた。アツアツで美味しい♪

茶臼山、デカいな‥
縞枯山、たしかに枯れた木はたくさんあったが、大変さは枯れているどころか現役だった‥
北岳、ふもとにロープウェイ乗り場がある。ちょこっと横北岳に登って眺望楽しんで、的な山だと思うが、今のボクには拷問であった‥
そして、最後の蓼科山
あと500m登れば山頂に到着して、そうすれば下るだけ。あとたった500m‥。
だけど、これがまぁつらい。足元の石ころは岩へと変容し、登りづらいし体力奪われるし。ヒィヒィ言いながらどうにか登る。やった。これで(ほぼ)終わり。でも、下りがうんざりするほど長すぎ。
日が落ちて暗くなる直前に、ようやくバス停に到着した。暗くなる前に帰ってこれてよかった~。
15時間くらいかかっただろうか。

蓼科山頂。岩ばっかりじゃん。昔々、スキー・スノボーをやっていた頃。蓼科といえばナンパな優しいイメージがあった。雪のない時期に来てみればバリバリ硬派のとんでもないオラオラ系だった。

さて、バスはもうない。あとは駅まで走って帰らなければならないのだが、約20kmあるそうだ。
この疲れ切ったカラダで後20km?無理じゃないだろうか?いや、無理じゃないけど、もう走りたくないという気持ちが強い。
さいわい、皆も少しは同じ気持ちを持っていてくれたようで8km先に共同浴場があるのを発見してくれた。
そこからタクシーで帰ろうということになる。もしかしたらボクが「走りたくないオーラ」を出しまくっていて、それを感じてくれたのかもしれない。
みんな、ありがとう。実は「走りたくないオーラ」出していました。

現金なもので20kmが8kmに減ったのだから走らない理由はない。8km先の浴場で汗を流し、ようやく長い縦走が終了。

思うに、北八ヶ岳も、一日に一つ二つ登るくらいだったら比較的イージーで楽しい山行になるのだろうが、疲れ切ったカラダではひどくつらい行程となった。
せめて南八ヶ岳北八ヶ岳を別日に登っていたら、随分と印象も変わったことだろう。
まぁ、でもこれで八ヶ岳素人は卒業した‥と思うことにする。
一応「八ヶ岳の山、ほぼ知ってます♪」って言える。