年末ロング走② ~おなか一杯200キロ~

弁天島駅から折り返し。
強風向かい風の影響はなくなり、行程の半分を過ぎた、という意識も相まって足取りは意外と軽い。
浜松まで戻ってからファミレスでようやく座って食事をする。
追い風ということもあり数年来の寒波~っ、というほど寒さを感じるわけでもないが、まるっきり寒くない‥わけでも無い。
暖かい部屋で暖かいものを食べていると、ほっと落ち着くと同時に、「寒くて暗い外には出たくない」という気分にもなる。

※ 以前読んだ「じゃりん子チエ」という漫画の中で、チエちゃんのおばあさんが、人は寒くて暗くてひもじいときにモノを考えると死にたくなるから、そういう状況の時にはモノを考えず暖かくしてごはん食べるのがよい、というようなことを言ってたシーンがあった。
今、実感として理解できる。

ここまで120キロほど。時間は20時くらい。終わって、浜松駅から電車に乗って帰るにはよい時間だし、程よい距離を走ったと思う‥。個人的には。
これ以上先に進むと終電時間を迎え電車はなくなり、否が応でも走らなければならない‥。などという弱音は口に出せない。

気持ちを(半分くらい)奮い立たせ、走り出す。
すでに辺りは真っ暗。転ばないように気を使う。意外と走れるが疲れている。しゃべることも無くなり、黙々と走る。
そのうちに〇井くんが遅れだす。どうやらヒザ痛が始まったそう。
まだ50キロくらいあるから、ここから苦しいだろうなぁ。もう終電もないし、途中離脱もできないよ。
全体の(というか自分の)身の処し方も含めてどうしよう?などと考えながら走っていたら、そのうちに追いついてきた。聞くと痛み止めを飲んだとのこと。
レース本番(本番がレースとするのならば)でも服用しないのに、この状況で服用するとは‥。ボクなら嬉々として止めてしまうところだが。

〇井くんの気合に感化されながら(いや別に感化されないが)、さらに黙々と走る。
向かい風ではないが、寒波真っ最中でもあるから、普通に寒い。
歩くと寒いから走っているだけ、というのがホント。
でも、走ることが出来るだけマシだし、向かい風でないのが不幸中の幸い。
やがて金谷の峠を越えて大井川を渡ると、なんとなしにゴールがイメージ出来てきた。でもあと30キロ。

200キロのうちの最後の30キロならリラックスして走ればいいじゃないか、と思う。
しかし、なぜか上がるペース‥。
〇ッチー得意の「この期に及んでのランナーズハイ」がやってきたらしい。(よく見るやつ)

サムライより強いサムライスピリッツを持つ〇原さん。
手段を選ばず痛みを解消してまでも完走を目指す〇井くん。
疲労困憊の最中に必殺技を繰り出す能力がある〇ッチー。

一方、堅牢なサムライスピリッツは持ち合わせず、痛みにめっぽう弱く、疲労の波には流される質の年配者のオレ‥。不利だなぁ。

聞こえもいいくらいの軽い不満を口にし、心の中で「しんどい・しんどい・しんどい‥(リピート)」を重ねながら、明るく晴れ渡った国1を走る。
幸か不幸か、さほどペースも落ちずにそのままゴール。207キロ、約27時間。思ったほどカラダボロボロじゃあない。やればできるオレ(ホッ)。

今日は大みそか。コロナ渦で今までとはずいぶんと違ってしまった年だけれど、大みそかはやってくる。
家に帰って洗濯して年越しそば食べないと。