赤穂ウルトラマラソン③ ~後半戦:今日も頑張った~

◆ 70kmまで
50kmを過ぎたあたりで、別カテゴリーがスタートし始める。50km、30km、10kmの順。
つまり、様々なカテゴリーのランナーが同じコースを入り乱れて走り始めたため、自分の100km部門での立ち位置がさっぱり分からなくなる。
自分を抜かした彼は誰?50km部門の人?折り返しですれ違ったあの100km部門のランナーは自分の前にいた人?後ろにいた人?と言う具合。

色々考えていたら余計疲れるので、とにかく集中しよう。
60kmを過ぎたくらいで、完全に疲れている!という事実を受け止める。
まだフルマラソン分の距離が残っている。頑張りだけでペースを維持できるわけがない。
疲れているせいか暑さが気になる。暑くなったから疲れが気になったのかもしれないが。
どっちも事実か。ボクは疲れているし、海浜公園は暑い。

ここはココロの声に従い、ペースを下げる。

下がった現状ペースでゴール予想時間を計算してみるが、ここからさらにペースダウンするのかもしれない。
というか絶対ペースダウンするだろ。じゃあ、もう分からん。

せめて、これ以上ペースを下げないようにするには‥‥
と、ここでランパンポケットにカフェイン錠剤を入れてあったことに気が付いた。
「集中力が増す効果のあるカフェインを50km過ぎたあたりで摂取する」という事前計画をすっかり忘れていた。
自分の間抜けさを呪いつつ、まぁ疲労を予想して持っていただけ対応力はあるかと励ましつつ、遅まきながら摂取。

◆ 90kmまで
カフェインの効果か、しばらくすると何となしにペースも気分も安定してきたのが分かる。
すごいぞカフェイン!あとはこの効果を切らさずにゴールまで走れるかどうか。
集中力は増したが、筋破壊は既に現れていて、脚が痛い。脚が痛いのはレース中には回復しないから、せめてカフェイン効果による気力維持に期待するしかない。

暑さと疲れはさらに増してきて、エイドでの滞在時間が長くなってきた。
「暑い‥」。他ランナーがエイドに並べた自前クーラーボックスの存在理由が、とても良く理解できる。
そんなことを考えながら走っていたら、今回のこの旅行に同行してくれた家族がレース会場に現れた。
赤穂市観光を早めに切り上げ(というか見るべきものが無くなって)、あらかじめ示し合わせておいたゴール予想時間より早く来たらしい。
早目に来たからには遠慮なくお使いを頼みコーラを買ってきてもらう。
冷たいし、カフェイン入っているし、気分スッキリ。自分の延命処置成功。

その後、何とか大崩れすることなく走る。当初のペースよりは随分と遅くなったため、イーブンペースで走っていたであろうクレバーなランナーに2人ほど抜かれた。
他カテゴリーの人の勢いではなく、ボクよりほんのり速いペースでやんわり抜かれたから100km部門の人と分かった。
あんたらが正しかったよ。序盤の元気が永遠に続くと思っている無謀ランナーを横目に淡々と走っていたんだろうね。

他カテゴリーのランナーの多くはボクらより先にゴールするので、コース上に残るランナーはまた100km部門の人だけになっていく。
ランナーの数が段々と減って行って、どんどんと減っていって‥。100km部門の人ってこんなに少なかったっけ?
(リザルトを見て判明したが、ずいぶんとリタイア者が多かった模様。完走率は30%ぐらいじゃないかな)

◆ ゴールまで
残り10キロ。もうペースは上がらないが、せめて落とさないように必死に走る。わずかな下り坂でも脚は痛いし、わずかな登りでも苦しいし。
どうやら9時間切りは達成確実。順位は?何番だろう?
(多分)2人抜かれて、前にいた人も何人か抜かしたから‥。8番くらい?

結局周回遅れにされたのは1位の人だけだったから、後は同じ周回にいるはず。前との差はどれくらい?などと考えていたらやがてゴールが。
ゴール手前の誘導スタッフが「5位」と伝えてくれる。1位がいて、抜かれた2人がいて、あと1人だけ。じゃあ、ボクの前にいたそれ以外の人はみんな止めたのか。

結果=総合5位、8:43、年代別2位(驚くことに1位の人が同い年だった!?)

◆ ゴール後
脚が痛い。最近は100マイルを走ってもこれほど痛くなることはなかったけれど。
ジュースを2本飲んで、落ち着いた後、公園内のテニスコート施設のシャワーを借りて汗を流す。
ゴール地点から500mほど離れているので、中々の苦行。
無事に表彰もされた♪賞品が小型ラジオというアナログ的。阪神大震災の影響か?
ゆっくりとバスに乗り、電車に乗り、姫路駅でお土産を買い、新幹線に乗って家路についたのでした。

◆ 総評
ペース配分はひどいものだった。何度レースを走っていても、こういう”やらかし”は起こるらしい。
結局、自分への過大評価と虚栄心と経験不足がこうした間違いを起こさせる。
「次回はもっと自分の実力に見合った上手なレース展開をするのだ」とココロに誓う。

翌日、レースのリザルトを見ると、周回遅れにされた1位は別として2位~自分(5位)まで4分程度しか差がなかったのが判明した。
その程度だったら、あとちょっと頑張ったら2位になれたかも~っ、と反射的に考えてしまう。
でも、がんばった結果がああだったわけだから‥ねぇ。それ言ったら止めた人も含めてみんなもっと上手に走りたかったわけだし。他の人が上手に走っていたら5位になんかなれなかったかもだし。
結局、前日の誓いが全く生かされていない自分でした。