UTMB2013~その⑤

 Courmayeur~Arnuva


Courmayeurには今回同行した奥さんが待っていた。
選手用のエイドは会場の2階にあるのだけれど、
サポートは1階の指定区画でしか受けられず、これがDVDで観た感じより
かなり狭い。だからいろんな選手のサポートでごちゃごちゃ。

それでもどうにかイスを一つ確保し、どっかり腰を落ち着ける。
すると疲労もどっかり降りかかる。
自分が思った以上に疲れていたことに気づく。
Courmayeur手前の急坂もダメ押しになったのか、太もも前面部もかなりの痛み。
もう一レース走り切った感覚。
奥さんはおにぎりとかどら焼とか持ってきてくれたが、あんまり食べる気せず‥。
”疲れた、疲れた~”と連呼していたら、ニューハレアクタさんが「速いじゃ~ん」と
声をかけていただいた。あれ?なぜこんなところに今頃?たしか奥宮さんを
サポートされていたのでは‥。
聞くところによると、奥宮さんは途中から遅れ出したとのこと、僭越ながらもボクの方が
前にいるらしい。
ど~も他のランナーさんに比して、ボクはかなり前を走っていたらしい。
それまで、自分はむしろ予想ペースより遅れていた、と思っていた。

ちなみにこの予想ペースは人的なものも超人的なものも含めてすべてうま~く言った時の、
ハッピーで能天気な予想ペースである。しかし、信じる者は救われる、
そんなドラマチックな展開が来るという無根拠な期待のもと、この予想ペースを信じて
走っていた。

まあそれでも、心の片隅では、そううまいことばかりではないだろうな、という2~3%くらいお利口な
自分もいたわけで、自分が守れるペースからは逸脱しないように走ってはいた。

だから、速いという話を聞いたとき、ちょっと意外だったのと、ひょっとしてこれは、
自分の気持ちの良い完走というハッピーエンドを揺るがす、
どえらい事態に陥っているのでは?という、嫌~な予感が頭でグルグルしだした。

しかし、ここまで来てしまったら仕方がない。痛いとは言っても、脚自体はまだ動くし、
胃がむかつく以外に、とくに問題も無さそう。
胃がむかつくのは、胃薬を飲むことで様子を見ることに。
そして、Courmayeurを出発。

しばらく、Courmayeurの街中を通る。やっぱりルートがわかりにくい。
遠くに見える、ランナーさんを見失わないように歩く(結構坂がきついので)
またまた途中でUTMB2011において鏑木さんが、マティアス選手を抜いた場所を
発見し、テンションあがり写真撮る。
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しばらくして街中を抜け、登りへ。
徐々に夜も白み始めた。こんないい時間帯に、異常発生
心拍の割に、ペースが落ちているような‥。
水分が足りなかった?あるいは補給食が?
胃のむかつきがあったせいで、補給を滞らせることがしばしば、あったためだろうか?
ここから、水分、補給(シリアルバー)を積極的に摂り始める。
でもシリアルバー、美味しくない

後続の選手に抜かれつつ、登り続ける。
夜が明け、朝日が昇り、徐々に視界の広がったボクの前に、太陽に照らされた山々が
広がる。きれいだわ~
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しばらくして山の上のエイドに到着
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イスに腰を下ろすが、やっぱり疲れているみたい。
どうも、脚そのものより、内臓疲労かな?とにかく息が上がる。
ここからはエイドを一つ挟みArnuvaまで走りやすいトレイルが続く。
景色がよく、ほどほどのアップダウン。すごく気持ちの良いトレイルで、
本当走るのが気持ちいい~。走れればね
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どうやら、疑念は確信に変わり、走ること自体が難儀になってきた
アクタさんから、太ももの痛みは熱を帯びているため、雪解け水や氷などで冷やした方が
いいよ~ん。というアドバイスをいただいたため、時折、トレイルを横切る雪解け水で、
太ももを濡らす。たしかに効果はあるが、やがて乾いてしまうので、一時的な措置になってしまう。
もっと時間をかけるか、氷でもあれば、また違うのかもしれないけれど、
気持ちだけは急いてしまうので、先を急ぐ。
ここらあたり、ペースダウンした自分は他のランナーさんにどんどんパスされる

下りだしたArnuvaへの道が、また痛んだ太ももに応える

どうにかこうにかArnuvaへ到着