畑薙100マイル② ~簡単な100マイルはない

◆ 復路
 このまま来た道を帰ります。
 帰り道だし、一応下り基調だし、ということで心も少しだけ軽くなる。
 井川ダム辺りで夜明けを迎える。
 いつものことだけど、補給食については軽く見積もっていた。暑さでジュースをたくさん飲むからそれでカロリーは足りるかな、と思っていたけれど思った通りにはいかず、〇っちーにいくらか恵んでもらう羽目になる。

 〇っちー、ありがとう。ごめんなさいね。さすが100マイルの女王です。よっ、太っ腹!(文字通りというわけじゃなく、”度量”が、という意味ですよ。念のため)

 富士見峠を越えると、もう大きな登りはなく、ホッとする。ただ、陽が高くなるにつれ暑くなってきた。
 これからさらに暑くなるということを考えだすと、精神衛生上悪いので、思考をシャットアウトし黙々と進む。
 とにかく玉川の集落までたどり着いてしまえば、ゴールを意識できるから、そこまで頑張った。
 しかし、〇っちーは暑さと疲労でかなり参っていたため、個々にゴールを目指すことにする。
 暑さは増すばかりだけれど、とりあえず約10km先のコンビニまでがんばる。
 ここでコンビニまでガマン!とか余計なことを考えなければ順調に走っていられたのだけれど‥。
 このコンビニまでが予想以上に遠く、大きな期待(アイスを食べる、とか)のためにあえて飲み物を控えてたカラダと予想以上の距離に対する精神的・肉体的疲労が一気に押し寄せ、急激に気分が悪くなる。
 何とかコンビニに到着し補給をするも全然回復せず。
 歩いたり走ったりを繰り返しながら進んだけれど、気分は悪いままなので、次のコンビニのイートインコーナーで1時間近くのロングピットイン。
 アイスと空調で何とかカラダを冷やし、落ち着いたところで外に出る。
 でも戦闘力はゼロのまま。
 こうなると、お定まりのコース。

 「水は低きに流れ、人は易きに流れる」
 孟子はいーこと言うなー。もはや止め時を考える自分。
 相変わらず走ったり歩いたり(というかほぼ歩いたり)、しているが暑さはどんどんひどくなる。
 ゴールは大浜海岸ということになっているが、問題は大浜海岸にたどり着いても、そこから自力で自宅に帰らないとならない。大浜海岸から自宅までは約5~6km。今の状態では絶対に帰れない。
 帰れないどころか、今もすでに倒れそう。
 普段仕事でも熱中症が身近にある環境なので、熱中症に気を付けよう、と言っている立場上、自分が熱中症で倒れたらシャレにならない。
 幸い?スタート地点まで5km走っているから、それでつじつまは合うっ!と勝手に判断し、静岡駅でゴールとすることにした。
 それでも170kmくらい走っているから、これはこれで完走ってことで。エヘヘ。
 〇っちーにごめんなさいメールをして、問答無用の汗臭さのまま電車に乗り家路についたのでした。

 ※〇っちーはその後、大浜海岸にたどり着いたのこと。さすがです。うらやましくないけど。