グランレイドカター~⑨ようやくゴール

161キロのエイドを過ぎたあたりで空が暗くなってきた。2度目の夜を迎える。

※ このエイド滞在中に105キロ部門のランナーがやってきた。金髪、長髪、タンクトップ、もちろん?タトゥー入りのお兄さん。
ヴァン・ヘイレンのデイブ・リー・ロスか、と突っ込みたくなるくらいのお兄さん。
ハードロックを生業にしているようなインドアっぽいお兄さんが、ザック背負って、さっそうと走る姿は珍しい光景だった。
だけど、そんなのもアリなのかなぁ、とちょっと”自由”について考えている自分も、かなり疲れている‥。

疲れているせいか、小刻みに走る走法の名前を思い出そうとしたり(そんなものない)、下りを小気味よく走る走法名を思い出そうとしたり(そんなものない)、そもそも、なぜ走法名にこだわっているのかも意味不明だし。

そんなこんなで、いよいよ最終エイドに到着。ここからは下り基調のトレイルが続く。
ゴールが近くて、下り基調で、トレイルで、でも疲れていて、なのだけれど、ここから我ながら驚くほどの快走!?
まだこんなに走れるんだ。じゃあ、これまでももっと追い込めたんじゃないか?と早くも一人反省会。

トレイルを抜けて、ブドウ畑の中を下り下りていくと、暗闇の中にライトアップされた大きなお城が見えてくる。
ついにたどり着いた。

※ 前回はお城にたどり着いた残り1キロくらいでコースロストしています。ボクが参加した前回の、その前のゴールはお城でした。
それはYOUTUBEで確認済み。
1. 世界遺産になるほどの観光資源 
2. 失礼ながら一地方が世界に誇れる唯一の建築物
3. 当然、当大会の”売り”もお城
4. スタートは演出たっぷりにお城
5. ゴールも演出たっぷりにお城
こうした条件が変わるなんて、だれが想像するだろう?ところが前回のゴール地点は受付会場近くの川沿いに設けられていた。
上記の前提条件が覆るはずがない、と確信していたボクはろくにマークも探さず夜中2時にウロウロとさまよった。
(ついでにゴールへ向かうコースマークも、わかりづらかった)

今回は慎重を期してマークを確認し‥と言いたいところだが曲がるところを間違えてうっかり素通り。
たまたまそこで人待ち?をしていたお姉さんに呼び止められて間違えに気付いた。危ない。
そこからは無事間違えることなく受付会場前でゴール(前回からまたゴール地点ずれた)。

タイムは28時間くらい。前回より4時間以上早いじゃん。コースが一部変更されたけれど、距離は変わらないし、難易度はむしろ上がったくらい。極端なペースダウンもなかったし、上出来じゃないか?(と、ここでは思っていた)

完走メダルをもらって、受付でデポバックを返してもらった。なお、高低図を見ると、ゴール地点にビール瓶のイラストが描かれている。これは当地の地ビールらしく、当会場でもランナー及び来場者に振舞われる。前回はランナーはほぼ飲み放題だったけれど、今回は1杯だけ無料。
飲みたいのはやまやまだが、さすがに疲れ切って美味しそうに見えない。
早々に宿に戻って(徒歩3分くらい。)、汗を流して就寝した。
ゴールしたのは夜の9時半。だから寝たのも日常生活での就寝時間に近い。
ハードなレースをやり遂げ、幸いにもそこそこなタイムでゴールし、結果としてすぐに普通の生活に近い時間帯に復帰する。
これはものすごい幸せなことじゃあないだろうか?と、満足感を抱えながら眠りについたのでした。